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三字経とは

更新日:2022年10月16日

なぜか子供たちがハマる古典『三字経』

三字、三字でリズミカルなのが心地よいからでしょうか。 これまで教えた子供全員が大好きになり、自主的に暗唱するという 不思議な魅力を持つこの書物。 『三字経』とは、中国古来の子供の教科書で、 『百家姓』『千字文』と並ぶ、基礎学習テキストです。 内容は、分かりやすい文章で ・学習や良い生活習慣がいかに大切か ・儒教の基本的な徳目 ・子供に知ってほしい常識 ・歴史上の模範となる人物のエピソード ・歴史、天文、地理などが盛り込まれています。 著者は、南宋時代(1127年 – 1279年)の著名な学者・王応麟と言われています。 中国の長い歴史が集めた大切な道徳や知識を、 短い言葉の中に凝縮して収めているので、 『三字経』は昔から途切れることなく現在まで伝わっています。 江戸時代の日本にも修身の書として伝わりましたが、 今の日本では知る人ぞ知る書物です。 清朝雍正5年(1727年)、ロシア語に翻訳されてロシアに伝えられた後、 英語やフランス語など多くの外国語に訳されています。 1990年秋、国連教育科学文化機関(ユネスコ)より「世界児童道徳叢書」に指定され、 世界共通の文化遺産にまでなっています。 そして本国中国では、幼稚園や小学生低学年から暗記する教材になっています。 『三字経』のテキストにはさまざまなものがあり、 一般的にいって時代の新しいものほど字数が多くなっています。 とくに歴史に関する箇所は時代が新しくなるごとに新しい歴史が 追記されていくため、字数が増えていきます。 章炳麟が1928年に著した『増訂三字経』では、民国までの歴史が追加されています。 もっとも短いテキストは1068字で、異なり字数は512字です。 大体において4句がひとまとまりで、2句目と4句目の最後の字が押韻しますが まれに「一而十、十而百。百而千、千而万」のように まったく 押韻していない箇所もあります。 子供のクラスでは、三字と一字のカルタにして、遊びながら字と発音を教えていきます。 カルタを一枚でも多くとりたくて、子供達はどんどん覚えていきます。 まず音と文字に親しんでもらうために、意味の解説はあえてしませんが、 だんだんと知っている漢字で推測したりして、自分から理解しようとしてきます。 江戸時代の日本人は発音ができませんでしたが、漢文の読み書きができました。 今の時代ですから、発音をまずマスターして、暗記する、という 中国人の子供たちと同じステップで教えています。 漢字を習い始める時期に、中国語の漢字の発音も一緒に覚えてしまえる 子供達は、気が付いたら、中文を音読できるようになっています。 大人からでは難しい声調の違いも、子供たちは漢字ごとに 聞き分けて、覚えていけるので、素晴らしい識字テキストだと思います。 大人が読んでも良い書物です。以下のような訳本も出ています。 – 子どもの人間力を高める「三字経」齋藤 孝

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