なぜか子供たちがハマる古典『三字経』

三字、三字でリズミカルなのが心地よいからでしょうか。
これまで教えた子供全員が大好きになり、自主的に暗唱するという
不思議な魅力を持つこの書物。

『三字経』とは、中国古来の子供の教科書で、
『百家姓』『千字文』と並ぶ、基礎学習テキストです。

内容は、分かりやすい文章で
・学習や良い生活習慣がいかに大切か
・儒教の基本的な徳目
・子供に知ってほしい常識
・歴史上の模範となる人物のエピソード
・歴史、天文、地理などが盛り込まれています。

著者は、南宋時代(1127年 – 1279年)の著名な学者・王応麟と言われています。

中国の長い歴史が集めた大切な道徳や知識を、
短い言葉の中に凝縮して収めているので、
『三字経』は昔から途切れることなく現在まで伝わっています。

江戸時代の日本にも修身の書として伝わりましたが、
今の日本では知る人ぞ知る書物です。
清朝雍正5年(1727年)、ロシア語に翻訳されてロシアに伝えられた後、
英語やフランス語など多くの外国語に訳されています。

1990年秋、国連教育科学文化機関(ユネスコ)より「世界児童道徳叢書」に指定され、
世界共通の文化遺産にまでなっています。
そして本国中国では、幼稚園や小学生低学年から暗記する教材になっています。

『三字経』のテキストにはさまざまなものがあり、
一般的にいって時代の新しいものほど字数が多くなっています。
とくに歴史に関する箇所は時代が新しくなるごとに新しい歴史が
追記されていくため、字数が増えていきます。
章炳麟が1928年に著した『増訂三字経』では、民国までの 歴史が追加されています。
もっとも短いテキストは1068字で、異なり字数は512字です。
大体において4句がひとまとまりで、2句目と4句目の最後の字が押韻しますが
まれに「一而十、十而百。百而千、千而万」のように
まったく 押韻していない箇所もあります。

子供のクラスでは、三字と一字のカルタにして、遊びながら字と発音を教えていきます。
カルタを一枚でも多くとりたくて、子供達はどんどん覚えていきます。
まず音と文字に親しんでもらうために、意味の解説はあえてしませんが、
だんだんと知っている漢字で推測したりして、自分から理解しようとしてきます。

江戸時代の日本人は発音ができませんでしたが、漢文の読み書きができました。
今の時代ですから、発音をまずマスターして、暗記する、という
中国人の子供たちと同じステップで教えています。

漢字を習い始める時期に、中国語の漢字の発音も一緒に覚えてしまえる
子供達は、気が付いたら、中文を音読できるようになっています。

大人からでは難しい声調の違いも、子供たちは漢字ごとに
聞き分けて、覚えていけるので、素晴らしい識字テキストだと思います。

大人が読んでも良い書物です。以下のような訳本も出ています。

– 子どもの人間力を高める「三字経」齋藤 孝

カテゴリー: 中国歴史・文化

masumi.h

合同会社日中共同クリエイションズ代表。日本中国語教育者育成協会代表責任者。